不安に耐える力は、単なる”技術”である(抗うつ剤なしに不安を解消する方法15)
「認知のかたより」は実際のところ、
どのようなものなのか。
あなたはご存じだろうか。
人間の認知は偏りがちだ、
とわかっていても、
実際どんなふうに偏っているのか、
偏っている間はどうなのか、
という点に関しては、あまりよく知られていない。
では早速、例題。
下のGIF画像は有名なので、よくネットで見かけると思う。
どちらに回転しているように見えますか?
右? 左?
右回転であっても左回転であっても、構わない。
ここであなたが注視するべき事は、
1) 一度右回転に見えたものは、
左回転に修正しにくいということ(逆も同じ)
2) 右回転に見えている間は、
左回転を見ることができない(認知できない)
これがあなたの脳の認知機能により、見えている世界の特性なのだ。
○たとえば、あなたが「自分はこうである」という思い込みによって、自身を評価しているときは、それ以外の見方をしにくい。
○どうしにくいかというと、上記の画像のような感じで、左回転に見えるはず、と頭でわかっていても、右回転にしか見えない。
○そして慣れないうちには、簡単には修正できない。
つまり、ある人が「きっと私は、こういう人間だ」「他者は私をこう見ている」と一度認識してしまうと、
それが事実でなかったとしても、その思い込みを解除しにくい。
上記の画像のように、
「いちどその方向に回転していると感じると、
なかなか逆回転には見えない」というように。
おわかりだろうか。
悲観的な思い込み、
他者がこう自分を評価しているという思い込み、
社会はこうであろうという思い込み、
自分で自分に課す思い込み、
それらはバイアスがかかっている可能性が、非常に高い。
さらに、認知が「偏っている」と頭でわかっていても、
そのことで悩んでいる間は、
上記のように決まった方向にしか考えられず、
別の見方ができない。
悲観的になることは、私も多々あるのでいたいほど気持ちはわかる。
その最中は、どうしても、そうとしか考えられないのである。
他者でも自分でも「こうである」と決めつけてしまいがちである。
では、それをどう修正していくか。
この「不安に耐える力は、単なる”技術”である」のシリーズに記述している内容にも、ヒントがある。
不安や恐怖におそわれ、過去の苦しみから逃れられず、
抗うつ剤を服用するしかないほど傷んだあなたの心は、
上記の図のように、
同一方向の回転ばかりを見ている可能性が高いのだ。
そして、ひとたび不安の渦に巻き込まれたら、
「もうずっとこの不安が続くのではないか。どうなってしまうのか」
「自分はこんな風になってしまったから、もうだめだ、終わりだ」
と思い込み、その思考や感覚からなかなか抜け出せないものなのだ。
が、しかし……、
必ず不安が消えている瞬間があるのだ。
不安を具体的に解消する行動をしたり、きっかけがあったり、
もしくはきっかけがなくても、時間の経過で薄まったりしていくなど。
あなたがそこでするべき仕事は、何かというと…
そのときに、意識の焦点を当てるのだ。
これを繰り返していくと、
右回転しか見えなかったものが、
しだいに左回転も見えていくのと同様、
自分にも不安を解消する力があるのだ、
とすんなり理解することができるようになる。
その認識の部分を強化してやると、
脳はかならず、あなたに答えるようになる。
それから、また別の方法。
「こうだろう」というマイナスの考えしかできないときには、
上記の図を思いだしてみる。
すると、
「人間は、認知の仕方に癖があるのだ」
ということを、脳が意識するようになる。
そうしておけば、
そのときは、まだまだ悲観的な考え方しかできなくても、
数時間後にはゆっくりと鎮静され、
「まあ、別の見方もあるのかもしれないな」と少しずつ修正されやすくなる。
さいわい上記の図は印象に残るので、
苦しいときや不安なとき、
マイナスの思考に陥っているときには、
上記の図を思い出すだけでも良いと思う。
一方向の認知にかたよる癖がある、
ということを自身で意識できていくと、
心の自由度は高まっていく。
その小さな訓練が、あなたを確実に強くしていく。