不安に耐える力は、単なる”技術”である(抗うつ剤なしに不安を解消する方法1)
あなたは今、ひどい不安にさいなまれ、気落ちしているかもしれない。
でも、大丈夫。
気を落とす必要はない。
不安に対処する力は、
いい意味で「単なる技術」にしか過ぎない。
つまり、必ず習得できるものなのだ。
人間関係、過去の出来事、環境、
そのようなものが起因となって、
不安を感じたり、恐怖を感じたりする。
不安や恐怖というものは、すさまじい苦しみを生み出す。
肉体的な痛みとは違うものであっても、
本人の中での苦痛は相当なものだ。
この感情の正体を知ると、
打開策も見えてくる。
つまり対応する方法を知ることができる。
以下、簡素に恐怖や不安の起こる脳の部位について書きます。
○恐怖や強い不安は、主に脳の「扁桃体」という場所で生じる。
この扁桃体は、大脳辺縁系という本能的欲求などの感情を生み出す部位の中にある。
扁桃体はマイナスの感情だけではなく、喜びや直感力なども呼び起こす。
意味不明の不安感や、思い込みなどによる恐怖感も、この扁桃体から生じる。
ここは言語を司る場所ではないため、
状況に比例せず、過大に不安を感じてしまう。
一方、ここから生じる不安感や不快感等を言語化するのは、
大脳新皮質という場所である。
つまり不安が非常に大きく苦しんでいる状態とは、
扁桃体から生じた不安を制御する大脳新皮質というルートを通らず、
脳が侵略されてしまっている状態である。
○ 恐怖や不安を制御できる場所は「大脳新皮質」にある。
ここは知性、理性、言語などを司さどる場所である。
とくに前頭葉に、不安などの不快な本能的情動を抑制するスイッチがあると考えられている。
つまり扁桃体で生じた原始的な感情の暴走は、
この部位を鍛えれば、制御・コントロールすることができる。
○では、どうやって?
激しく大きな不安や苦痛といった感情は、扁桃体で生まれる。
幼少期に70パーセント培われる部位であるため、
生死に関わるような過大な感情(本当はそうではないのに)として生じることが多い。
また心が傷つけられたり、にっちもさっちもいかないような恐怖心を感じたり、ひどい不安に陥っている時は、
感情が、情動を抑制コントロールする大脳新皮質を通らず、その情動が脳を侵略している状態だ。
たとえだが、子供のころなどに、
ちょっとした怪談などをテレビで観て過敏になっている時、
夜の庭などで白いものがひょろひょろと浮かんでいたのを見る。
それを見ると、思わず、もしや、幽霊なのでは! とたまらなく怖くなる。
正確な情報を把握できず、
恐怖の感情に、思わず脳がのっとられてしまっているのだ。
しかし冷静になって、昼間改めて同じ場所で同じ物を見ると、
それは単なる洗濯物だったりする。
「なんだ、かんちがいだったんだ」と、実体を知って、ほっとする。
その後、その白い物を見ても、もう正体がわかっているから怖くもなんともない。
これが大脳新皮質によって、
情動をコントロールできた状態である。
不安等が強くて日常生活に支障をきたしている状態は、
上記のように本能的に反応している状態だ。
頭のなかで猛獣が暴れている状態といってもいい。
そこで猛獣使い(大脳新皮質くん)の出番である。
○数値化する
以前、「罪悪感を半減させる方法」についての記事でも書いたけれど、
不快な感情を数値化してみよう!
数値はだいたいでいい。
「今の不安は80パーセントくらい。ものすごく辛いから」
と数値化する作業とは、
脳の中で自分の立ち位置を二分できた状態。
つまり、扁桃体によって支配されて判断がつかなくなったパニック的な状態から、
一歩抜け出せたのだ。
大脳新皮質のチェック機能を起動させた、というイメージだ。
数値化したとたん、少し気持ちが落ち着くのは、この効果による。
○不安が沈静化したことを、「成功体験にする」
脳はご褒美が大好きだ。
動物の例にはなるが、犬のしつけや訓練の際は、
できたときに誉め、おやつなどのご褒美により、報奨を与える。
水族館でイルカやアザラシなどが芸をしたあとも、
訓練する人間は、小魚などのご褒美を与えている。
あれはなにをしているのか、というと、
それが達成できたときに、扁桃体に「快」という報奨を与えているのだ。
最初はうまくできなくても、しだいに訓練の効果が強化され、
やがて上手にできるようになる。
大脳新皮質は、訓練する側であり、
扁桃体は訓練される側である。
具体的には、
あなたの不安や恐怖、怒りなどの収まった時を利用するのだ。
その状態の時に、
「私はあんなに辛かったのに、今、不安が収まっている」
と強く意識する。
「今は楽になっている。楽になる時間帯がちゃんとあるから大丈夫」
とノートなどに簡単にメモをとると、効果が強くなる。
さらに、どうやってそう状態になったのか方法まで書き込むと効果が倍増する。
○○したから、さっきの気分が落ち着いた。
○○を食べて気分転換をしたら、さっきよりずいぶん不安がなくなった。
時間が経ったら、理由はないけど、なぜか落ち着いた。
など。
単なる時間の経過で不安が減ることも、素晴らしい成功体験なのだ。
自然にしていても、不安を抑制することのできる、優れた機能を脳が発揮しているのだ。
また不安が減ったり落ち着いたりした時に、
好きな物を食べたり、好きなことをしたり、好きな場所へ行くなど、
自分が嬉しいと思うことをするのも効果がある。
不安が減った時に、すかさず自分にご褒美を与えるのだ。
すると脳の扁桃体は、
報奨を与えられたと感じて、
「快」の情動を発生させる。
成功体験にしてしまうのだ。
それによって、不安を制御する機能が強化される。
最初はなかなかスッキリいかなくても、
続けるうちに、必ず大きな効果を感じるようになる。
不安を消す「技術」が身に付いていくからだ。
まとめると、
1)扁桃体から生じた過大な不安等のマイナス感情を、数値化する。
2)不安が落ち着いたら、メモをしたり、強くその状態を意識し、
不安解消を達成したことを自分に印象づける。
3)不安が落ち着いた時に、自分に報奨を与える。
地味な作業だけれど、あなどってはならない!
効果は絶大だ。
手応えがないようでも、水面下では、
そしてあなたがそこで培った素晴らしい技術は、
やがていろいろなところで、
あなたの人生をより良いものにしていく。
不安の制御のみならず、
やりたかったことを積極的に達成する力を、
いつのまにか身に付けている。
それは本当に本当に、
とてつもないほどの、
強靭な力だ。
真の力だ。
あなたが自身で育てた力なのだ。
それを応用すれば、
いろんなことができるようになる。
素晴らしい夢が叶っていく。
あなたは、その魔法の力を持つことができるのだ。
輝く櫂をもって、好きなものを探しに行ける。
その手で、世界を切り開いていけるのだ。
その力で、誰かを助けることができるのだ。