不安に耐える力は、単なる”技術”である(抗うつ剤なしに不安を解消する方法14)
人間は自分の能力に蓋をしている。
自身で制限をかけているのだ。
自分がこの程度でしかない、と考えていれば思考も停止してしまう。
しかし、自分は結構できる、いろいろやっていけると自信を持てば、
脳が目覚め、能力が発揮されていく。
知人の職場での話だが、
専務の立場にある四十代ほどの男性がいた。
酒好き女好きでのみ歩き、職場でも態度が傲慢だった。
職場の飲み会などでもお金にルーズで、ちょっと危ない感じの人物だったらしい。
しかし、どういうわけかこの人が支部の社長に抜擢された。
ほかに人材が居なかったからだと思うが、なぜか社長になったのだ。
すると、この人物がまるで別人のようにがらりと変わった。
お金に関して緻密に計算をし社員に分配する。
好きなだけ飲んで荒れた生活をしていたのに、
飲むのも午後十一時までと自分で決め、酒にのまれなくなり、
仕事でも誰もが想像しえなかったほどの業績をあげたのである。
その人物は、社長という肩書きを手にしたとたん、
それにふさわしい行動を取るようになった。
お金やお酒に関してコントロールするようになったのも、
自分の肩に責任がのしかかっているため、
失敗することに「恐怖」を感じたからだという。
「恐怖」という名目で、
役割を与えられた扁桃体が協力してくれたのだ。
「恐怖」はとてつもない力を持つ。
それがときに味方になるのだ。
また、私の経験談だが、
あるところに仕事の依頼があったとき、
通常の相場よりも高く時給を設定した(注:風俗ではない)。
最初のうちは、それにみあう能力が出せるのか、
失敗するとまわりにどう思われるのか、非常に怖かった。
しかし、だんだんと脳が変化していった。
「その時給にみあう仕事とは、一体なにか」を勝手に考えだしたのだ。
会社のほうでは、逃げたくなるようなレベルの高い仕事をちらちら頼むようになってきた。
最初は怖くて仕方なかったのだが、やるしかないので、一応やってみた。
そうすると何故か自分が思っていたより対応できる。
ついでにIQテストもやってみた。
するとびっくりするような結果が出た。
大学生のときよりも、ずっと跳ね上がっているのである。
摩訶不思議としか云いようがないが、事実なのだ。
別に私が特別なのではない。
人間は自分に制限をかけて、その通り行動しているのだ。
蓋をはずせば、本当の力が解放される。
自分に役割を与えてやると、
押さえ込んでいた能力が、覚醒していく。
自分で思うより、あなたはすごい人間なのだ。
あなたの扁桃体が、どういうときにどういう感情になるのか、いちどつぶさに観察してほしい。
どういうときに、あなたをコントロールするのか。
せひ、あなたの行動をやすやすと支配してしまう扁桃体の力に注視してほしい。
一方で、扁桃体に「快」という報奨と、
自分はこうありたい(抗うつ剤をのまなず不安をコントロールする技術を身に付けたい等)という方向性、
この二つをセットを与えてやると、
あら不思議・・・
呪文をかけられた魔法のごとく、
脳は動き出す。
ものすごい結果が必ず出る。
不安や恐怖は、自己防衛のための感情であり、必要な感情でもある。
一方で「快」という感情がもたらす報奨は、想像を越えるほとの大きなパワーを持つ。
この「快」→「小さな達成」や「報奨」を積み上げていってみよう。
自分が不安から脱したときに、メモをとってみよう。一行でいい。
どうやって不安から脱出したか。書いてみるのだ。
スマホのメモ機能に入力してもよい。
地獄の火に焼かれるほど、不安にさいなまれていた私が、
いまは普通に暮らしている。抗うつ剤なしで。
こういうことは可能なのだ。不可能ではない。
コツとしては、
抗うつ剤をやめ、
1不安が消えたこと
2どうやって消えたか
の二点を意識していってから、
一年半ほどで社会に復帰し、人間関係の交流も普通にできるようになった。
上記、1と2では、脳になにが起きていたかというと、、
扁桃体に自分で報奨を与えていたのだ。
小さな達成の力は、自分が自身を認める力になる。礎になる。
礎があると、自然に他者からの評価もついてくる。
まずは基礎を作るのだ。
その基礎を作っていく過程こそ、
もっとも強力な武器になるのだから。