不安に耐える力は、単なる”技術”である(抗うつ剤なしに不安を解消する方法10)
今回は、あまりにも不安で苦しい時に、
短時間で不安を解消する方法について、
ひとつの例を書いていこうと思う。
不安と恐怖は似ているが、異なるところがある。
○不安は対象がぼやけており、
○恐怖は対象が割とはっきりしている。
いろんな対応策について知り、
コツコツやってみてはいるものの、
制御の力を培うにはある程度、時間が必要になる。
なぜかというと、
恐怖を消失させるためには、記憶を消すのではなく、
記憶の上塗りが有効とされるからだ。
この点、どうしても時間が必要になってくる。
恐怖のメカニズムとは、
一度なにかの出来事によって刻まれたひどい記憶が、
不安や恐怖の感情を引き起こすために起きる。
記憶は海馬というところに、保存されている。
そこで、不安と恐怖を解消する有効な手段としては、
この海馬に、良い情報や良い記憶をどんどん上塗りしていく。
以前、「不安に耐える力~」の記事でも紹介した。
扁桃体という猛獣を、
大脳新皮質という猛獣使いが、
訓練していく方法が、「良い記憶の上塗り」にあたる。
「○○をしたから、自分は不安を解消することができた」
など、不安が解消できた方法をメモに取ることは、
”メモを取る”という行為が、
より海馬という装置に記憶を刷り込みやすくするからだ。
そのため、効果が高くなる。
メモにとらなくても、
自分で「今は不安が落ち着いた。このような時間が訪れるから大丈夫」と自覚するだけで、
海馬に良い記憶と情報が上塗りされる。
この積み重ねには時間がかかるがたしかな力が確実についていく。
なぜかとうと、脳が記憶をし、記憶を書き換える装置であるからだ。
特別な人間ができるのではなく、誰でも必ず効果を見込める方法である。
ただし、この訓練には時間が必要になってくるので、
どうにも苦しくて仕方ないときには早くなんとかしたい、と思うのが人情である。
そこを和らげるのが薬といってしまえばそれまでだが、
根本的な解決のために、自身の脳に力を培いたい。
ではとっさの時に、どうしたらいいのか、
どうにか不安と恐怖を早く落ち着かせたい時には、どうすればいいか。
その時は……
遊園地に行くのである。
は?(°Д°)
……と拍子抜けした人は、
ド素人である。
にっちもさっちもいかなくて早く不安をおさめたい時、
これはひとつの有効な手段になる。
以下に手順を示す。
1→ジャージに着替える。
2→遊園地に行く。
3→かなり怖いジェットコースターなどのアトラクション系に乗る。
4→アトラクションから生還した時の気持ちを、しっかり味わう。
これだけである。
まず遊園地に行くこと自体おっくうだ、
というあなたの気持ちは痛いほどわかる。
しかしジャージでもいいから部屋着から着替えて、
とにかく遊園地に行ってみる。
そして恐怖心をなるべく強くかきたてるアトラクションに乗ってみる。
例えば、数十メートルの高度までちゃちい椅子ひとつに座って登り、
ぐるぐる回転するやつなど、
超おすすめだ。
生々しい、「死」に近い恐怖を感じるからだ。
そのリアルな恐怖が、不安解消に必要なのだ。
つまり、
1>不安は、対象がぼんやりしていて、
恐怖は対象がはっきりしている。
2>海馬は記憶を上塗りする。
これらを利用するのだ。
新らしく対象のはっきりした恐怖を、あえて感じさせてやる。
アトラクションだから、数分くらいでその明確な恐怖は必ず終わる。
すると、
アトラクションに乗るまえの、不安にもやもやとしたあの苦痛が、
アトラクションが終わり、無事に地上に戻ってきた時に軽快しているのを、
確実に感じるだろう。
そこですかさず、自分にインプットするのだ(←※ここが超重要)
「さっきまでの不安が一時的かもしれないけれど、減っている。消えている」
と。
そしてまたインプットする。
「こうしてあの不安は必ず軽減するものであるから、次に不安になったときは、
このときのことを思いだそう」
と。
これで記憶が確実に、上塗りされる。
そして不安を解消するためのあなたの脳の機能が強化される。
どうしても苦しくて、
不安から逃れたくて仕方ないときがあれば、
この手っ取り早い方法をぜひぜひ試してほしい。
そして、恐怖系アトラクションから実際生還したときの、
自分のなかの感情をよく味わってほしい。
あなたが予想していたよりもはるかに、
それまでの不安と苦痛が、
うやむやになっている。
とにかく、何故かうやむやになっているのだ。
予想を越える脳の生体反応なのだ。
しかし誰もが持っている機能なのだ。
めんどくさくても、
苦しいよりましな時には、
絶対に絶対に、試してほしい。