passyoo(パッショ)の日記

不安、うつ、抗うつ剤を克服した経験をつづったサイトです

私が抗うつ剤を止めていった過程 その5

 

 

「意地でなんとか仕事をしてみよう。

短期でもいい。

あわなくてもいい。

とにかくスタートしてみよう」

 

そう考えた。

不安と恐怖と絶望で潰れかかっていたけれど、

家にいるよりはましだと思った。

家にいると一挙手一投足に、自身の突っ込みが入るのだ。

それに先々について、何をどうやっても絶望的だとしか思えない。

 

 

だから苦しかったけれど面接を受けて、

内容的には少し体力勝負だったが仕事を始めることにした。

 

 

さて仕事に行ってみて、・・・

と、「はしょって」書いているが、

もちろんそこに到達するまでの精神的な不安や苦しさがまた大変だった。

しかし意地で行ってやった。

 

 

実際に仕事を始めようとすると、

ブランクがあっても意外にすんなり職につくことができた。

むろん、難しい仕事ではなかったからだ。

 

そこはブラック企業だったので、人間関係の煩わしさはあったけれど、

同僚先輩に腹が立ったり、

不条理に泣きたくなったり、

などなどさいわいにして、普通の人間世界にのめりこむことができた。

 

それらのありがちな苦しみが、

精神を崩壊させてしまうようなとてつもない恐怖から、私を救ってくれた。

「普通の悩み」によって、頭がいっぱいになり、

いてもたてもいられないような絶望と恐怖が、少し和らいだのだ。

 

だから、いやな上司や先輩には、

「いやな感じでいてくれて、どうもありがと」

と内心思っていた。

 

 

別にマゾではない。

 

 

 

人間はひとつの思考に没頭している間は、

ほかのことを考えることができない。

ひとつの認知のしかたを、訓練なしにはそう流暢に修正することができない。

 

 

そこを利用した。

 

 

そうすると、案の定、脳は平凡な悩みを抱いてくれた。

 

 

それにわるいことだけではなかった。

仕事をしていれば、いろんな人と接する。

私はなるべくたくさんの人が出入りし、声をかけてくるような職場を選んだ。

いろいろ尋ねられたときに手助けしてあげると、

どのお客さんも同じような表情をする。

ぱっと明かりがついたような表情だ。

みな、違う人なのに同じなのだ。

宝物を見つけたような表情をするのだ。

 

 

その表情を見るのが、嬉しくて仕方なかった。

 

 

 

絶望というものは、人の心を殺してしまう。

暗闇にしてしまう。

 

だから、決して絶望してはいけない。

私も今でも時おり絶望にのまれてしまいそうになるけれど、

それは間違っている、とちゃんとわかっている。

絶望は妄想にすぎない。

 

 

 

希望を持つのだ。

 

 

 

なぜなら、

それが人間としての「しごと」だからだ。

 

 

 

 

(注;希望の党とは一切関係ありません)

 

 

 

諦めと絶望は違う。

諦めは、「諦め」という選択だ。

絶望は選択肢を閉ざされ、闇に心を殺され続けている状態だ。

 

 

 

暗闇にとり囲まれたまま、ひっそり消滅してしまえればいいけれど、

そうはいかない。

 以前には、

夢に溺れるような気持ちで、このまま死んでしまえればなどと愚かな思ったこともあった。

しかし私は人の死に直面をし、その有り様を眺めなければならなかった。

自分が助けることができなかったことの苦しさ。

逃げていたことへの後悔。

それを目の当たりにして、

自分の人間らしさを崩壊させるほどの、苦しさを味わった。

 

死は生易しいものではないのだ。

 

重度のうつと診断されたときに通っていた病院で、

自殺未遂があった。

その人は本気で死ぬつもりだったのだけど、

さいわい生きた。

しかしその人が背負った後遺症は悲惨で、あまりにもむごすぎる状態だった。

 

 

 

絶望は幻想にすぎない。

人間の価値は、人間の価値基準によりおかされるものではない。

価値があるとかないとか、人間の偏りのある思考回路が判断できるはずがない。

生命が38億年も綿々と続けてきた圧倒的な力の連続を、

自分の命が引き継いでいるのだ。

 

 

そのからだ自身に、すべての崇高さが宿っているのだ。

 

 

 

その重厚な輝きを、いったいどこの誰によって損なわれなければならないのだろう。

もしかして面接でNOと言った2、3人の中小企業のおっさんか?

隣人だろうか?

親兄弟?

学校の人間?

教師?

 

 

 

それらは果たして世界のすべてだろうか?

あなたはその人たちになりたいだろうか?

 

 

 

絶望しそうになったら、

必ず希望のほうへ自分で足を向けること。

心を向けること。

希望のあることを言う人は必ずどこかにいる。

医師であったり、師であったり、

友人や、相談ごとなどの掲示板でもいい。

必ず、希望の持てる情報を、耳に入れること。

 

 

それを信じられなくてもいい。

だが、情報として持つのだ。

そうすると、脳がそれに応じて反応する。

無数の選択肢を弾き出す。

私は無宗教なので宗教的な解決は求めなかったが、

希望の持てる情報を耳に入れると、

体調自体が変わることだってあった。

 

 

忘れてはならない。

 

あなたの脳は魔法使いなのだ。

 

できうる可能性の範囲内ではあるが、

とてつもない素晴らしい未来への選択や行動を弾き出す能力があるのだ。

あなたの想定の範囲をゆうに越える、

ものすごい選択と行動を。

 

 

あなどってはならない。

 

 

多様に進化してきた生命。

永遠というくらい長く生き続けてきた生命。

五度の地球上の大量絶命を乗り越えてきた、ド根性。

 

そして美しさ。

 

 

 

それらすべてを、あなたが引き継いでいるのだ。

 

 

 

苦しみを抱く能力は、

あなたの真の強さでもあるのだから。

 

 

 

 

つづく