不安に耐える力は、単なる”技術”である(抗うつ剤なしに不安を解消する方法16)
世間や自分が「これはいいものだ」と云っている価値感は、
あなたにとって実のところ、いいものなのだろうか?
そうではないだろう、と本やら何やらで云われているが、
今回は、それをリアルに感じた実例を書いていく。
○とても条件のよい職場での仕事
知人から、条件も仕事内容も良い職場を紹介され、
そこで仕事をすることになった。
向こうは正社員にと言ってくれたが、
育児もあるため断って時給換算にし、勤務時間にも都合をつけてもらった。
人間関係も穏やかで、ほのぼのとした職場だった。
仕事内容も良い。
私は安定と収入を考え、この会社に落ち着いたほうが良いのでは、
と考えるようになった。
本心の部分では、その会社の業務内容に対して、燃えるような熱意はなかったが、
トシもトシなので、世間一般的な価値観からかんがみて、
「ここいらで一発、安定しておかなければならないかも」
と思い始めるようになったのだ。
しかし、それから数ヵ月経ち、
朝に妙な疲れを感じるようになった。
朝から、疲労感が強いのである。
手首にも強い痛みを感じる。
そうなる理由は、全くわからなかった。
○事件は突然起きた
また幾月か経ったころ、
なぜか事務所の長(おさ)が若手の職員を叱責するようになりだした。
この長も根はわるくないが、癖のある人物だった。
いわゆるオレオレタイプで、何かと自己アピールをしたがる。
部下を叱りつけることで、
自分の経験や知識を会社の人に知ってもらいたい、という感じだ。
私は、このいたぶられている若手君がかわいそうで仕方なかった。
さらに・・・・
ある朝突然、私が出社するなり、
「さあさあさあ!! パッショさんが来たから、やろうかね!」
と全員を立たせ、
エッチラ体操という、わけのわからないトンデモ体操をすることを、
強いたのである(注;AVではない)。
(;゜Д゜)
唖然としながらも、ついつられて、
見よう見まねでその意味のわからない体操をした。
言っておくがそこは、超事務職業である。
クリックする腕さえ動けば、あとは肉体の機能は必要ない職場である。
見渡せば、
この異様な状況をみな受け入れて、もくもくと体操をしている。
誰も長に理由を聞かない。
この状況は毎朝続いた。
さらにその長が、朝体操をさせるのを忘れた時には、
「パッショさんが帰る前にやろうな!」
と夕方五時から体操を開始させるのである。
私は憤慨した。
帰宅前に体操をさせる理由とは、一体何であろうか???( ;゚皿゚)ノシ
○舌打ちを堪える日々
毎体操度ごとに、舌打ち寸前で、怒りをこらえる日々。
私もまだまだ未熟者。
扁桃体の力が強い側の人間である。
このイラつきを毎日押さえるのに、ひどく消耗した。
○危険な集団意識
この出来事は私に、非常に不愉快で生理的な嫌悪を生じさせた。
「集団がみなそうしているし、リーダーがそう命じたから、従うべき」
という圧力の名のもとで、人間はいともたやすく、思考停止に陥るのである。
私はこのようなものが大嫌いだ。
それには明確な理由がある。
乳を揺らされる云々以外に、だ。
「リーダーが命じたから、是非はともかくやらなければならない」
これがどんなに危険なことか。
こういうことを掘り下げないから、
日本社会は、大量のうつ病患者を量産してしまう。
リーダーが命じれば、集団は従う。
そして集団からはぐれることに本能的な恐怖を感じる。
恐怖によって扁桃体は操られ、
人間は思考停止の操り人形になるのである。
この恐怖は利用される。
人間は、集団がそれを行えば、どんな非道なことでも行ってしまう。
人間はその恐怖に支配され、子供や妊婦や病人たちですら大量に虐殺してきた。
人間の弱く危うい部分は、利用されやすいのである。
○脱出せよ
とうとう私はそこを辞め、
別の職場へ行くことを考えるようになった。
なにしろ扁桃体が、猛烈に拒否しているのである。
毎日毎日イライラしてしょうがなかった。
こうなってしまったら、
逆らうだけデメリットが増える。
扁桃体の力は強いのである。
そして・・・・・・
今、現在、別の職場で仕事をしているが、
結論として、その安定高待遇のところを去ったことで、
よりしあわせになった。
より満たされる日々を生きているのである。
このような事も起こりうるのだ。
世間一般の価値感、または自分で思い込んでいた価値観にとらわれることは、
人間だから多々ある。
しかし、捕らわれることをやめることでも、
予想を上回るしあわせを得ることができる。
それが真実だ。
○世界はあなたの想像を超える
重度のうつと言われ、
治療が私のように十五年など長期に及んでも、
抗うつ剤を完全に止めて、
しあわせに元気に健康に生きることは、
必ず出来る。
不安や恐怖にこつこつ対応し、
小さな成功を積み重ねていけば、
大きな力、
真に自分にとって活きる力を、
手に入れることができる。
いわゆる、物質のみがあなたにとっての、幸福のすべてではない。
金銭や待遇を満たすだけが、あなたという存在の真の望みではない。
これを自覚し、しっかり意識してみよう。
時に、あなたを困らせる扁桃体。
その扁桃体が、時には、あなたに素晴らしい道を示してくれるのだ。