passyoo(パッショ)の日記

不安、うつ、抗うつ剤を克服した経験をつづったサイトです

私が抗うつ剤を止めていった過程 その7

 

仕事を辞めてから落ちた谷底が、またひどいものだった。

じわりじわり落ちていく感じだった。

 

薬を飲んでいたときには避けていたが、

人の比較的多いところや野外などになるべく出掛けることにした。

以前なら、くるしくて避けていたのだけれど、

その時は、あまりに苦しくて、「多少ましな苦しさ」を選ぶしかなかった。

 

 

子供とプールに毎日行くようにした。

たいして泳げないが、水音を聞くと多少気分が和らぐ気がしていたので、

「大量の綺麗な水のあるところ」

に行くようにした。

 

いっけん普通の行動をしているが、

心の中は、地獄に居るような状態だった。

 

 

臓器が焼かれるような痛みがずっと続いていたのだが、

子供を妊娠した頃にひどくなり、

眠れずにストレスでものが歪んでみるほどになってしまった。

 

その痛みの原因はわからなかった。

難病の可能性がある、という医師もいたし、

病気ではない、という医師もいた。

 

これさえ消えれば、と思うほど、厄介な痛みだった。

ストレスを感じると火に焼かれるように痛くなる。

しかしストレスを感じていない時でも痛くなる。

眠る前などに顕著になる。

病院へ行っても、異常はないと言われる。

 

 

本人にとっては病気としか思えない痛みである。

火で炙られるようだった。

 

これが十五年間も続いていた。

 

 

そんな状況のなか、抗うつ剤を辞めてから一連のことがあったあと、

子供とプールに行った時、

摩訶不思議なことが起きた。

 

 

水に入ってふっと手足を泳ぐように動かすと、

少し身体反応的にリラックスした。

その瞬間に、痛みが、

まるで砂糖が溶けるように消えていったのだ。

 

 

 

そしてリラックスした心地よい感覚と交換されていった。

 これまで無かった感覚だった。

 

 

私は何年も、

自分が大変な病気を抱えているのではないか、と思っていた。

医者も判断つかないような妙な病気を。

そのことに対する潜在的な恐怖は、ものすごかった。

考えないようにしていたが、

なにかにつけて痛くなり、

私の人生に壁のように立ちはだかっていたのだ。

心休まる時がなかった。

 

 

 

しかしあの瞬間、

水の中に入って心地よさを感じると同時に、

たしかに自分の中で痛みがすうっと溶けていくのを実感した。

その感覚をとらえられたことは大きかった。

 

 

「ああ、あの長い間感じていた痛みは、

ただの幻想だったんだ」

 

 

そう確信した。

 

 

 

 

それ以来、

痛みはすっかり消えた。

ふいに消えたのだ。 

 

 

病気としか思えないリアルな痛み。

原因不明の強い痛み。

それは、私の脳のなかで作られていた幻想だったのだ。

 

 

 

「あなたにはもう薬は必要ない」

医者が何度もそういってくれたからかもしれない。

あんなにボロボロの私に。

 

また、こんなことも影響していたのだろう。

抗うつ剤をやめたあとで不安がひどい状態で苦しんでいたとき、

インターネットをさ迷うように見ていたら、

あるパニック障害を持った方が、薬もいらず完治したという経験をつづったブログの記事に出会った。

何年も前に治り、それ以来症状は出ていない、と書かれていた。

そして、

脳に「なおりたい」と指令を与えると、

脳は無意識にその方向へ向かっていく、とも書かれていた。

 

 

私はパニック障害ではなかったが、

その「治癒した」という記事を何度も何度も読んだ。

果たして自分が抱えていた不安の症状が治るかわからなかったが、

読むと嬉しくなり、何度も読んだ。

 

可能性はゼロではないのだ、

と自分に言い聞かせるために……

 

それが頭のどこかに残っていたのだろう。

 

 

不思議なことに、

自分が思いもよらなかったやり方で、

事柄が打開されることがある。

 

 

希望というものは、

明かりのように心を照らす。

 

 

あなたがもしいま苦しくても、

状況を打開できる可能性はゼロではない。

誰もゼロだと断言できない。

 

 

希望を脳に吹き込もう。

信じなくてもいい。情報のひとつとして持っておくのだ。

 

 

自分を愛するのが一番難しい。

私はいつもそう思っている。

たぶん、ほとんどの人が、そうなんじゃないかと思う。

自分を愛するのは一生かけて行う課題だ。

でも、次第次第に愛していけるから、

人生を与えられているのだ。

 

 

 

 

あなたには,

かけがえのない「力」がある。

あなたしか知らない苦しみを乗り越えたとき、

あなたは宝石以上の存在になる。

唯一無二の輝きの。

 

 

それは紛い物ではない、

正真正銘の、

本当の輝きだ。

 

 

 

あなたにしか見えない素晴らしい世界が待っている。

 

あなたにしか助けられない人がいる。

 

 

あなたにはその資質がある。

苦しみを感じることを受け入れたのだから。

 

 

 

あなたはヒーローになるのだ。

 

 

 

つづく